コクリコ坂から
私は引きこもりゆえ「最近どうしてる?」と尋ねられることが多い。
しかし、ひとさまに胸を張って報告できるような行いはしておらず「なんとか生きてます……」と答えることしかできない。
毎日、本当に、何もしていない。
ベッドに横たわり天井を眺めている。もしくは、録画しておいた金曜ロードショーの『コクリコ坂から』を繰り返し観ている。
映画の感想を書く。
スタジオジブリ作品『コクリコ坂から』は昭和38年(1963年)が舞台となっている。
詳しい内容は割愛する。繰り返し見ているわりにあまり覚えてない。
私が好きなのは、主人公であるメルの暮らしぶりだ。
朝ごはんのうたをBGMに、メルが早朝から起き出し、旗をあげ、大家族の朝ごはんを手早く用意する姿が映画冒頭で描かれている。
私は、映像にしてたった数分間のその描写が『コクリコ坂から』一番の見せ場だとすら思っている。
「朝起きて、ご飯を作って、食べる」というごくごく普通の生活が、まるで一つの儀式のように感じられるのだ。
メルの表情が年に似つかわしくない凛々さで「母に代わり今日も家族の生活を守っていこう」という強い意志が伝わってくるからかもしれない。愛しい生活……。
作中には脱水機つき洗濯機や白黒テレビ、マッチで点火するタイプのガスコンロ(?)などが登場しており、中々に興味深い。
ジブリの丁寧な描写で当時の生活文化を知ることができて、私は、とても嬉しい……。
おわる